日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
髄膜腫を疑った犬に対してオンコサーミアを実施した1例
黒田 晃平東 和生村端 悠介大﨑 智弘柄 武志伊藤 典彦今川 智敬岡本 芳晴
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キーワード: 脳腫瘍, , オンコサーミア
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2018 年 71 巻 6 号 p. 303-306

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抄録

11歳のミニチュアダックスフントが全般発作を主訴に来院し,MRI検査で髄膜腫と診断された.抗がん剤等の治療を希望されなかったため,病変に対し温熱療法の1つであるラジオ波誘導温熱療法(オンコサーミア)を実施した.本症例は治療開始より1,065日で亡くなった.その間,てんかん様発作は認められたものの,一般状態は良好に維持されていた.今回の症例では,オンコサーミアによって長期間の生存が可能であった(33.1カ月).これは,手術及び放射線を併用した場合と同等の生存期間である.さらに,その期間は大きな副作用もなく,症例のQuality Of Lifeは良好に維持されていた.この結果から,オンコサーミアは犬の髄膜腫の進行を抑える効果がある可能性が示唆された.

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