日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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71 巻, 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 北川 貴志, 井上 英耶
    原稿種別: 原著
    2018 年71 巻6 号 p. 293-297
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー

    黒毛和種雌肥育牛の脂肪壊死症と種雄牛,導入時の日齢体重及び産肉性の関係を調べた.一般畜と病畜で出荷された290頭を父牛の系統により分類し,主要な3系統に含まれる208頭から,本症と父牛の系統及び導入時の日齢体重の関係を調べた(モデル1).また,同290頭を父牛別に分類し,出荷牛10頭以上となった7頭の父牛を持つ150頭で,本症と父牛及び導入時の日齢体重の関係を調べた(モデル2).その結果,本症の発生には,父牛の違いのみが有意に関連していた.また,モデル2の対象牛のうち一般畜で出荷された147頭に対して,本症と発育及び枝肉成績の関係を検討した.本症である場合,牛脂肪交雑基準値が有意に高かった.以上,本症の対策には,種雄牛ごとの遺伝的影響の把握が必要と考えられた.また,筋肉内脂肪の増加が本症と関連すると推察された.

  • 乙丸 孝之介, 久保田 修一, 兼重 貴裕
    原稿種別: 短報
    2018 年71 巻6 号 p. 298-301
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー

    黒毛和種子牛におけるHistophilus somni に対する抗体価を調査するため,3農場(それぞれA,B,C農場)で飼養されていた36頭(1農場12頭ずつ)の子牛を供試した.すべての供試牛から生後1,4,8,12,16及び20週齢で血液を採取し,H. somni に対する抗体価を測定した.その結果,3農場すべてにおいて,子牛のH. somni 抗体価は4週齢まで緩やかに低下し,その後徐々に上昇した.4週齢の子牛の抗体価は,A農場及びB農場では12,16及び20週齢の抗体価と比較し有意に低値であり,C農場では20週齢の抗体価と比較し有意に低値であった(P<0.05).本研究で示された黒毛和種子牛のH. somni に対する抗体価の推移は,今後,子牛の呼吸器病予防対策の1つとしてH. somni に対するワクチネーションプログラムを構築するうえでの一助となると考えられた.

小動物臨床関連部門
  • 黒田 晃平, 東 和生, 村端 悠介, 大﨑 智弘, 柄 武志, 伊藤 典彦, 今川 智敬, 岡本 芳晴
    原稿種別: 短報
    2018 年71 巻6 号 p. 303-306
    発行日: 2018/06/20
    公開日: 2018/07/20
    ジャーナル フリー

    11歳のミニチュアダックスフントが全般発作を主訴に来院し,MRI検査で髄膜腫と診断された.抗がん剤等の治療を希望されなかったため,病変に対し温熱療法の1つであるラジオ波誘導温熱療法(オンコサーミア)を実施した.本症例は治療開始より1,065日で亡くなった.その間,てんかん様発作は認められたものの,一般状態は良好に維持されていた.今回の症例では,オンコサーミアによって長期間の生存が可能であった(33.1カ月).これは,手術及び放射線を併用した場合と同等の生存期間である.さらに,その期間は大きな副作用もなく,症例のQuality Of Lifeは良好に維持されていた.この結果から,オンコサーミアは犬の髄膜腫の進行を抑える効果がある可能性が示唆された.

獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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