日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
若齢牛において地方病性牛白血病と診断した1例
若槻 拓司杉山 定高岡 亜沙子橋田 明彦水上 智秋廣瀬 友理門田 耕一竹嶋 伸之輔間 陽子
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キーワード: BLV, 子牛, EBL
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2019 年 72 巻 10 号 p. 608-613

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抄録

地方病性牛白血病(EBL)は好発年齢が4歳齢以上とされているが,約5カ月齢でEBLと診断した症例に遭遇した.当該牛は交雑種の去勢雄で,134日齢時に体表リンパ節の腫脹を認めた.168日齢では体表リンパ節の腫脹がさらに悪化し,血液検査では白血球数が104,000/μl で,異型リンパ球の割合は89%を呈した.剖検所見では腹腔内の各リンパ節の腫大があった.病理組織学的検査では,各臓器,各リンパ節において大型で異型性を示すリンパ球様細胞の浸潤,増殖を認めた.Real-time PCR法では,血液とリンパ節において牛白血病ウイルスのコピー数が著しく高値であった.B細胞クローナリティ検査では,腫瘍細胞のバイクローナルな増殖を認めた.以上の結果から,症例牛をEBLと診断した.発症個体にはEBLの発症と相関するウシ主要組織(BoLA)遺伝子BoLA-DRB31101/1601 を認めたが,癌化にはその他の要因の関与も考えられた.

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