日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
馬パラチフス血清学的検査におけるDTT‐MATの有用性
髙橋 弘康丹羽 秀和八木 梓信本 聖子片山 芳也松田 芳和立花 智安斉 了
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2019 年 72 巻 10 号 p. 601-607

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抄録

ジチオスレイトール(DTT)で処理した馬パラチフス発生馬群(異常産馬と同居馬)の経過血清,発生牧場周辺の発生地域馬群及び非発生地域馬群の血清を用い,マイクロ凝集反応法(DTT-MAT)を実施した.異常産馬全頭でDTT-MATが陽性(≧20倍)となり,発症後の経過によりMATが陰転後もDTT-MATで抗体陽性が持続した.同居馬でもDTT-MAT陽性馬(42.1%)が認められた.発生地域馬群及び非発生地域馬群のDTT-MAT陽性率は4.5%,0.1%であった.DTT-MAT陽性の64検体は,1検体を除き馬パラチフス菌のLPSを用いたELISAで抗LPS抗体(IgG,IgA)の存在が示唆された.以上から,DTT-MATは馬パラチフスの感染後に出現するO4抗原に対する抗体を鋭敏かつ長期間検出できる方法と考えられた.

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