2019 年 72 巻 11 号 p. 686-690
2017年5月,流産胎子の肺からグラム陽性球菌が分離され,16S rRNA遺伝子解析によりHelcococcus kunzii と同定された.病理組織学的検査では化膿性気管支肺炎が認められ,分離菌と交差反応を確認した抗H. ovis 抗体を用いた免疫染色で陽性反応が認められたことから,H. kunzii が流産に関与していた可能性が示唆された.牛の流産胎子からH. kunzii が分離された事例は,今までに報告がないため,今後さらなる症例の蓄積や検討によりH. kunzii の牛への病原性を解明する必要がある.