日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
外科的に整復した先天性大静脈孔ヘルニアの犬の1例
岩田 徳余三木 伸悟秋山 今日子岩永 優斗神先 芽衣田中 聖晃大谷 祐介真下 忠久
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2020 年 73 巻 12 号 p. 735-739

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抄録

症例はマルチーズ,避妊雌,4歳齢で急性の発咳を呈し来院した.各種検査から外傷性横隔膜ヘルニアを疑い,外科手術を実施した.手術時の所見は,横隔膜に欠損はなく,肝臓内側右葉が大静脈孔を介して胸腔に連絡していた.先天性大静脈孔ヘルニアと診断し,血流を確認するため,術中に造影CT検査を実施したところ,胸腔内に脱出した肝臓へと連絡する肝静脈,門脈が認められた.脱出した肝臓を温存するため,整復手術を実施した.術後87日目に実施した造影CT検査では整復した肝臓は正常位置に存在しており,同時に肝生検を実施したところ組織学的にも正常であった.横隔膜ヘルニアの鑑別診断として大静脈孔ヘルニアを考慮し,腹腔内に完納するのか肝葉切除を実施するのか決定するために,術前の造影CT検査が重要であると考えた.

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