2020 年 73 巻 5 号 p. 253-258
黒毛和種牛繁殖農場で,妊娠牛約25頭の群にサツマイモを3カ月給与したところ,3頭が急死し,他の6頭が呼吸器症状と皮下気腫を呈して死亡した.発症牛では,死亡前に血清AST及びγ-GTPの上昇が認められ,軽度の肝障害が示唆された.死亡牛では,肉眼的に肺の退縮不全,気腫及び水腫,肝臓表面の出血斑が認められた.組織学的に肺胞腔内へのマクロファージ及び好中球の著しい浸潤,Ⅱ型肺胞上皮細胞の増殖,間質性肺気腫及び限局的な肝細胞壊死が認められた.給与サツマイモではカビの発生や黒変などが認められており,傷害を受けていた.これらのサツマイモからはFusarium 属真菌が分離され,また高性能薄層クロマトグラフィーによりイポメアマロンが検出された.以上から,これら症例を傷害サツマイモ中毒と診断した.