2020 年 73 巻 5 号 p. 259-263
水晶体亜脱臼を伴う犬の続発性緑内障眼に対して,網膜凝固用のグリーンレーザーを用いて,前眼房を通して虹彩と脱臼した水晶体の間隙から毛様体を目視しながらレーザー毛様体凝固を実施した.レーザー照射前の3カ月間は眼圧は30~38mmHgを推移した.照射後の3カ月間は15~21mmHgを推移し,その後ふたたび眼圧上昇を認めた.レーザー照射後には明らかなぶどう膜炎の症状は認めなかった.本手技は水晶体と虹彩との間隙から毛様体を観察できる特殊な症例に限定されるが,経強膜毛様体光凝固術(TSCP)ほど周辺組織に損傷を与えずに,また内視鏡下レーザー毛様体凝固術(ECP)のように眼内操作を必要とせずに,毛様体凝固と眼圧降下が可能であることを確認した.