日本獣医師会雑誌
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獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
肉用出荷鶏の脾臓に発生した腸原性囊胞の11例
阿部 増美菊池 普貴子清宮 幸男
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キーワード: 肉用鶏, 腸原性囊胞, 脾臓
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2021 年 74 巻 10 号 p. 657-661

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抄録

腸原性囊胞に罹患した47~65日齢の肉用出荷鶏11例を病理学的に検索した.全囊胞が単房性で脾臓に密着していた.9例が単一,他2例が各2囊胞を有していた.囊胞は長径が15~68mmで,内腔に淡明粘液を満たしていた.組織学的に,囊胞壁は被覆上皮,上皮下結合組織,平滑筋及び線維性被膜の4層により構成され,被覆上皮は単層の立方または円柱上皮より成り,しばしば絨毛状突起を形成していた.同突起を被う円柱上皮細胞は,遊離側に過ヨウ素酸シッフ及びアルシアンブルーpH2.5の両染色で陽性並びにアザン染色で青染する粘液顆粒を満たしていた.得られた成績から各囊胞が腸に類似する粘膜により内張りされていることが示唆された.1例の囊胞上皮に巣状の重層扁平化生,各2例の囊胞に出血または化膿性炎が観察された.

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