2021 年 74 巻 11 号 p. 714-720
ウサギ飼養施設において,1週間で10羽が相次いで斃死した.うち1羽の病性鑑定の結果,壊死性出血性気管支肺炎が認められ,肺からPasteurella multocida が分離された.分離株の莢膜型推定PCRにおいてA型及びF型の両方の特異増幅産物を認めたため,莢膜合成関連遺伝子群の塩基配列解析を実施したところ,A型及びF型を識別する各プライマー設計部位の配列が両方保存されていた.一方,本菌は間接赤血球凝集反応による莢膜型別では型別不能であった.Multilocus sequence typingを用いた遺伝子型別では,本菌はSequence Type(ST)4に型別された.ST4と遺伝的に近縁な10個のSTで構成されるClonal complex 171に型別される株がウサギから分離された報告は過去にない.