抄録
本研究では,NHKが配信している一般のニュースをChatGPTで平易な日本語表現に書き換えるタスクを行った.具体的には1)一般のニュース,2)GPT-4モデルで平易化したニュース,3)GPT-4oモデルで平易化したニュース,4)人間が作成した「やさしい日本語ニュース」の4種類の記事文章を,リーダビリティ分析の結果に基づいて定量的に分析した.分析の結果,GPT-4の記事文章がもっとも読みやすく,一般のニュースがもっとも読みやすくないことが明らかになった.また,GPT-4oによる文章はGPT-4よりも人間が作成した「やさしい日本語」に近いことも明らかになった.さらに,テキスト特徴量の分析結果からGPT-4oは一般のニュースの語彙的属性を忠実に反映しつつも,平均文長などの長さを調整する形で平易化を行っていることが明らかになった.このことは,大規模言語モデルによる生成AIが,タスク遂行の表面的な精度だけでなく,ある部分では人間に近い推論と言語生成を行う方向で発展している可能性を示唆する.