日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
プレドニゾロン内服単独で長期間生存した猫の悪性インスリノーマの1例
小田原 由佳三井 一鬼道下 正貴高橋 俊一
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2021 年 74 巻 11 号 p. 738-742

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抄録

10歳齢の避妊済雌猫が頭部の部分痙攣発作を主訴に来院した.低血糖がみられ,腹部超音波検査において膵体部に低エコー性の結節が認められたことから,インスリノーマを疑い,プレドニゾロンによる内科療法を試みたところ,一般臨床状態は改善した.その後32カ月間プレドニゾロン内服単独で血糖値管理が可能であったが,全身状態が徐々に悪化して斃死した.剖検と全身諸臓器の病理組織検査及び免疫組織化学的検索により,肝転移を伴う膵体原発の膵島細胞癌(悪性インスリノーマ)と診断した.腫瘍細胞の増殖が緩徐であったことが長期間の生存を可能にしたと考えられた.

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