日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
子牛におけるルーメンアシドーシスの関与が疑われたPichia kudriavzevii による消化管真菌症
大竹 良祐澤田 徳子木﨑 あゆみ戸塚 知恵花房 泰子芝原 友幸
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2021 年 74 巻 12 号 p. 781-787

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抄録

岩手県内の黒毛和種牛飼養農家で,24日齢の子牛が下痢及び哺乳欲低下を呈し,予後不良となった.剖検では,前胃及び第四胃に腐敗酸臭を伴う灰色泥状内容の貯留がみられた.組織学的に,食道及び前胃の粘膜は肥厚し,上皮細胞の変性,壊死及び錯角化,好中球の浸潤並びに出血が認められた.病変部には多数の酵母様真菌及び仮性菌糸がみられた.免疫組織化学的検査並びに第一胃及び直腸の内容由来分離菌の生化学的性状検査及び分子生物学的解析の結果から,この真菌はPichia kudriavzevii と同定された.また,第一胃内容のpHの低下及び乳酸濃度の著しい上昇が確認された.本症例はP. kudriavzevii による子牛の消化管真菌症と診断され,その誘因としてルーメンアシドーシスの関与が疑われた.牛において,P. kudriavzevii の消化管真菌症を確認した初の報告である.

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