日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
と畜検査で急性膵壊死と診断した黒毛和種肥育牛の1症例
木村 香澄大内 敏
著者情報
キーワード: 急性膵壊死, , 脂肪壊死
ジャーナル フリー

2021 年 74 巻 3 号 p. 197-201

詳細
抄録

と畜場に搬入された27カ月齢の黒毛和種雌牛において,病理組織学的検査の結果,急性膵壊死と診断した症例に遭遇した.病歴書によると,と畜場搬入7日前から食欲不振及び腹部皮膚の振戦が認められ,生体検査でも腹部皮膚の持続的振戦が確認された.解体後検査では,膵臓は軽度に腫大,表面に線維素が少量付着し,割面では白色〜黄色の斑状病巣がび漫性に認められた.膵臓周囲脂肪組織は肥厚し水腫様で,内部に不整形〜帯状の脂肪壊死が散見された.病理組織学的検査では,膵臓に広範な脂肪浸潤及び脂肪壊死がみられ,脂肪壊死に隣接した膵実質組織に限局して腺房細胞の変性・壊死及び好中球・マクロファージ主体の炎症細胞浸潤が認められ,急性膵壊死の病理組織学的特徴と多くの点で一致した.なお,原因の特定には至らなかった.

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本獣医師会
前の記事 次の記事
feedback
Top