抄録
乳牛の蹄関節炎の予後及びリスク因子を解明することを目的として,ホルスタイン種乳牛の経産牛の蹄角質疾患罹患牛514例と蹄関節炎罹患牛45例の過去4年間のカルテ記録と畜主へのアンケート調査結果を用いて,蹄関節炎罹患牛の治癒割合と農場在籍日数の算出及びリスク因子解析を実施した.蹄関節炎罹患牛の治癒割合は断趾術群で61.1%,局所治療群で3.8%であった.また,蹄関節炎罹患牛の農場在籍日数の中央値は断趾術群で272日,局所治療群で21日であった.蹄関節炎のリスク因子解析では,分娩後日数0~60日(オッズ比=3.05,95%信頼区間=1.32~7.04)が有意な因子として抽出され,蹄関節炎に罹患するリスクは,分娩後の環境変化や代謝的な変化との関連が示唆された.