日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
内科的治療によって良好な経過を得た外傷性環軸椎不安定症が疑われた猫の1例
中本 裕也溝口 倫生中本 美和
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キーワード: 環軸椎不安定症, , MRI
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2021 年 74 巻 6 号 p. 383-387

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抄録
3カ月齢の雄のラグドールが突然の四肢の起立困難を主訴に主治医を受診し,翌日に紹介来院した.麻酔下のX線検査では異常所見が認められなかったが,MRI検査にて環軸椎背側領域の脊髄実質における信号強度異常,脳脊髄液検査にて出血を示唆する所見が認められたことから,外傷性環軸椎不安定症が疑われた.頸部の外固定,運動制限,投薬,理学療法といった内科的治療により,経過は良好であった.経時的なMRI検査にて損傷の疑われた脊髄実質における病変部位が空洞化していたことから,神経症状の将来的な残存が示唆された.猫の環軸椎不安定症に対して継時的なMRI検査によって脊髄実質の評価を行うことは,予後判断に有用であると考えられた.
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