本研究は,細菌性乳房炎を発症したホルスタイン種乳牛の乳汁から分離された大腸菌(E. coli )23株のバイオフィルム(BF)形成能を調査し,臨床的に用いられる抗菌薬5種類のBFに対する作用を明らかにすることを目的とした.供試細菌株23株中21株がBFを形成した.最小殺菌濃度及び最小BF形成阻害濃度は,フルオロキノロン系抗菌薬において低値を示した.最小BF撲滅濃度はすべての供試抗菌薬において高値を示した.よって,フルオロキノロン系抗菌薬は全身投与により乳房内に感染したE. coli の増殖を抑制可能であるとともに,BF形成も抑制可能であると推察された.また,いずれの抗菌薬においてもBF形成後の効果は期待できないと考えられた.