日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
夜間行動を主訴に行動診療科を受診した高齢犬24頭の後ろ向き調査
小澤 真希子岸野 友祐津山 悠川畑 健牛草 貴博
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2022 年 75 巻 11 号 p. e199-e204

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抄録

夜間行動を主訴として行動診療科に来院した高齢犬24頭を対象とし,後ろ向き調査を実施した.夜間行動の要因疾患は認知機能不全症候群(CDS),皮膚疾患,腫瘍性疾患,クッシング症候群/下垂体腫瘤が多かった.対象症例の約5割でCDSが夜間行動の要因疾患として診断されたが,身体疾患は8割以上で診断され,身体疾患の診断率がCDSの診断率を上回った.夜間行動として運動と発声をともに示した犬ではCDS保有率が約9割であったが,運動のみあるいは発声のみ示した犬では4割以下であった.追跡調査の結果,夜間行動は約6割の犬で死亡時まで継続したが,要因疾患の治療で完治に至った犬も約2割認められた.本研究の結果から,高齢犬の夜間行動は身体疾患の関連するものが多く転帰は保有疾患ごとに異なるため,鑑別診断がきわめて重要であることが示唆された.

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