日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
神経指向性アストロウイルスの遺伝子が検出された牛の非化膿性脳炎
原田 奈美香茂木 麻奈美髙梨 資子松浦 裕一芝原 友幸萩原 克郎瀧澤 勝敏
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2023 年 76 巻 5 号 p. e122-e129

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抄録

群馬県内の酪農場において,非化膿性脳炎を呈した牛の大脳からアストロウイルス(AstV)の特異遺伝子断片が検出された.当該牛は横臥し泌乳量減少,食欲不振となり,予後不良と診断された.剖検では,著変は認めず,病理組織検査では,大脳,間脳,中脳,橋及び延髄に囲管性細胞浸潤,グリア集簇が認められ,それらの変化は脳幹でより重度であった.病原検索では,大脳及び主要臓器から有意な細菌は分離されず,他のウイルスは不検出であった.検出されたAstV遺伝子断片の塩基配列は,国内初発例の神経指向性AstVの非構造蛋白質領域と95%一致した.本症例の脳炎にAstVが関与した可能性があり,国内2例目の報告であると考えられる.本研究により,国内の複数の地域における神経指向性AstVの存在が示唆され,国内にAstVがまん延している可能性が推察された.

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