日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
D/Cモザイク型毒素を産生するClostridium botulinum による牛ボツリヌス症の1例
中尾 聡子奥村 尚子荒木 美穂青木 雄也岩垣 つぐみ上江洲 浩一
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2023 年 76 巻 9 号 p. e237-e242

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抄録

2022年10月に3頭の肉用繁殖雌牛が起立不能,流涎,第一胃運動停止,排便停止及び低体温を呈して死亡した.ボツリヌス毒素検査の結果,発症牛の消化管内容物と畜舎内のカラスの糞の培養液からD型ボツリヌス毒素とD/Cモザイク毒素遺伝子が検出された.病理組織学的検査では,発症牛の第一胃と心臓に壊死性血管炎が認められた.疫学調査,臨床所見及びボツリヌス毒素検査の結果から,本症例はD/Cモザイク毒素遺伝子を産生するClostridium botulinum による牛ボツリヌス症と診断された.発症牛はカラスの糞に含まれるボツリヌス菌の芽胞を摂取して発症したと考えられた.当該農場では発症予防としてボツリヌスワクチンの接種と防鳥ネットの設置を実施した.本症の発生予防には農場の清掃と消毒に加えて野生動物の侵入防止対策が重要である.

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