神奈川県食肉衛生検査所で発見された牛の悪性褐色細胞腫1例及び褐色細胞腫5例の病理学的特徴を解析した.症例は,いずれも高齢の黒毛和種,ホルスタイン種であった.腫瘍は,悪性褐色細胞腫罹患牛では左副腎,後大静脈及び両肺に,褐色細胞腫罹患牛では片側または両側の副腎に認められた.腫瘍細胞は毛細血管を含む狭い結合組織で区画され,胞巣状または索状に配列していた.褐色細胞腫の腫瘍細胞は,悪性褐色細胞腫と比較し,顕著な多形性が認められた.腫瘍細胞はクロモグラニンA及びシナプトフィジンに陽性を示し,Ki-67陽性率は,悪性褐色細胞腫が褐色細胞腫よりも低値であった.本調査により,病理組織学的に著しい多形性や増殖能を示さず,転移する症例が確認され,牛においても本腫瘍は人と類似し,病理組織学的に良悪性の鑑別が困難である可能性が示された.