日本獣医師会雑誌
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反芻動物の消化器運動に関する研究
1. ベサネコールクロライドおよびメチル硫酸ネオスチグミンの緬羊胃運動におよぼす影響
篠崎 謙一菅原 伯柏崎 守
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1963 年 16 巻 8 号 p. 286-292

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抄録

1) ベサネコールの薬用量 (50~100γ/kg) の皮下注射は, 緬羊の生理的前胃運動に対し, 緊張性の増加, 周期的収縮の増加をおこした. その効果は注射後5~20分より約40分継続した.
大量投与の場合, 注射直後一過性の緊張の増加とともに強直性収縮を示したが, その経過は短くただちに周期的収縮の増加をきたした.
ネオスチグミンはベサネコールと同様であるが, その作用は弱かった.
2) 麻酔, 手術および低級脂肪酸の経口投与に継発する前胃運動の抑制または停止に対し, ベサネコールは著明に前胃の周期的収縮を回復したが, ネオスチグミソの作用は弱かった.
3) ベサネコールの静脈注射は, 注射直後一過性の血圧の降下があったが, 呼吸の頻度, 深さは変化しなかった. また皮下注射の場合, 臨床的に呼吸循環系におよぼす変化はみとめられなかった.
4) ネオスチグミソは大量投与のときにも流涎作用はなかったが, ベサネコールは薬用量でも軽度の流誕作用をみとめ, 大量投与では顕著な流誕がみとめられた.
5) ベサネコールはネオスチグミンよりある程度排尿, 排糞作用が強いことが分った.

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