日本獣医師会雑誌
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カナマイシンによるニワトリ大腸菌症の予防・治療試験
井上 勇荒川 平治野本 貞夫渡辺 文男
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1971 年 24 巻 1 号 p. 24-27

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抄録
ヒナ大腸菌症由来の株 (E.coliO-2) で人工感染を行ない, カナマイシソを使用して予防治療試験を行なった.また, 野外発生例についても治療試験を行なった.
(1) 薬剤感受性試験では, カナマイシン, クロラムフェニコール, コリスチンに高い感受性が認められた.フラゾリドン, ストレプトマイシンにも認められたがサルファ剤には認められなかった.
(2) カナマィシンを22日齢ヒナに人工感染 (菌液0.5 ml1V) と同時に筋注 (50mg/kg) し, 24時間後に第2回目を実施した.その結果全羽が耐過し, 臨床症状, 剖検所見で薬剤の効果が認められた.しかし, 飼料中に1%(1g中カナマイシソ30mg, ペニシリン1万u) 添加し24時間前より投与した群には効果はみられなかった.
(3) 22日齢ヒナをもちいた菌の回収試験では, カナマイシン30mg/kg2回注射群は2口後には回収されたが・5日後には脾からだけ少数のコロニーが分離された.いっぽう, 50mg/kg2回注射群では2日後に少数の菌が回収されたが, 5日後には分離されなかった.
(4) 野外発生した症例に, カナマイシンを40mg/kg 2回筋注したところ, 一般臨床症状が好転し斃死がみられなくなり治療効果が認められた.
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