日本獣医師会雑誌
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イヌパルボウイルスに対する子犬の移行抗体の消長ならびに成犬の血清疫学調査
秦 敦朗内海 健二朗石川 隆司深川 清二野田 周作堀江 牧夫時吉 幸男
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1983 年 36 巻 8 号 p. 453-458

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抄録

イヌパルボウイルス (CPV) の免疫抗体の子犬への移行と, 移行抗体の子犬での消長を知るため12頭, 3同腹子犬群の血清中の赤血球凝集抑制 (HI) 抗体価を経日的に測定した. いっぽう, 大阪府南部の家庭に飼育されている成犬のHI価もあわせ調査した.
子犬は哺乳後3ないし4日で母犬の50%に相当するHI価を示していたが, その後は規則的に低下し, 半減期は10.8日であった. 疫学調査した成犬168頭のうち68%は20倍以上のHI価を示し陽性であった. 陽性犬のうち屋外飼育犬の平均HI価は1, 349倍, 室内犬は187倍であった. したがって当地区の子犬の32%は移行抗体をもたず, 68%の子犬のうち屋外犬は平均72日齢, 室内犬は42日齢で移行抗体が消失 (10倍以下) すると推定された. これによりCPV不活化ワクチンを子犬に使用する場合の好適日齢を予測することができた.

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