ブタヒゼンダニに対するin vitroでの薬剤試験法の確立を試みるとともに, 本法を用いて有機リン系殺虫剤であるナレドの殺虫効果について検討した. 豚疹癬罹患豚より痂皮, 皮膚片を集め, 37℃ で1時間以上放置したのち, 脱出したダニを有柄針で拾い上げ試験に供した. 薬剤試験用容器には, 底部外側に1cm間隔の画線を描いた直径9cmのガラスシャーレを用い, これにアセトンで所定濃度に希釈したナレドを1m
lずつ滴下した. これを均等に拡散させ, 乾燥したのち, 採取した虫体を投入した. 採取した虫体には幼ダニ, 若ダニ, 成ダニの各ステージのものが見られたが, 数量的にこれらを区別して集めることは困難で, 本試験ではいずれのステージのものも1個体として計数した. 試験の結果, 対照群において, 6時間後には平均13.5%, 24時間後には100%の虫体が死亡したことから, 本法では6時間程度の試験時間が適当であると考えられた.本試験によるナレドの殺虫効果は0.2μl/dishでKT
50=0.78時間, 0.1μl/dishでKT
50=1.24時間で, 本剤はブタヒゼンダニに対し, 比較的速効性をもつ有効な薬剤であることが示唆された.
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