日本獣医師会雑誌
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犬子宮蓄膿症の臨床所見と膿汁中の細菌および末梢血中プロゲェステロンについて
野村 紘一加茂前 秀夫是枝 哲世鶴野 整傳
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1984 年 37 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

犬子宮蓄膿症207例について, 臨床症状の調査, 子宮内膿汁の細菌検査および末梢血中プロゲェステロンの測定を行い, その成績と発症の関係について検討したところ次の結果を得た.
1) 臨床症状としては禀性が鈍 (73.2%) で, 食欲不振または廃絶 (78.5%) を示し, 多飲傾向 (70.1%) が見られ, 膿を漏出する例 (80%) が多く, 嘔吐の見られるものが52.5%でほぼ半数を占めていた. 体温は平熱に近いものが多かった.
2) 白血球数は2, 400~123, 800/mm3 (平均33, 400±22, 400/mm3) で, 20,000~40,000/mm3の範囲のものが139例中86例 (61.9%) を占め最も多かった.
3) 子宮内膿汁の細菌検査の結果は, 陽性が161例中141例 (87.6%) で, 陰性は20例 (12.4%) であった.
4)膿汁内検出菌種はEscherichia coli(56.9%), Strcptococcus(13.3%), Klebsiella(6.2%), Staphylococcus(5.6%), Proteus(2.6%)およびCitrobactor(2.1%)などであった.
5)末梢血中プロゲェステロンは3.00~95.00ng/ml(平均18.95±17.04ng/ml)で正常雌成犬の黄体期と比較して必ずしも高くはなかった.

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