日本獣医師会雑誌
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神奈川県下に飼養されているサルの糞便検査成績
相原 照佳小沢 敬高橋 徳行大熊 光隆島村 健郎細川 照美後藤 功深瀬 徹板垣 博
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1984 年 37 巻 2 号 p. 90-93

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抄録

1982年7月~8月に, 横浜市・川崎市・横須賀市を除く神奈川県下の22ヵ所に飼養されているサル74頭 (愛玩用個別飼養: 16ヵ所24頭, 展示用群飼養: 6ヵ所50頭) について, Shigella, Salmonellaおよび寄生蠕虫類を対象とした糞便検査を行った. その結果, ShigellaおよびSalmonellaはまったく検出されなかったが, 個別飼養されているサル24頭のうちの1頭に鞭虫と糞線虫の混合感染がみられ, また, 群飼養されている6群では5群に鞭虫, 4群に糞線虫 (4群は両種の混合感染) が認められた. これらの鞭虫はTmchuris trichiura, 糞線虫はStrongyloides fülleborniと考えられる. T. trichiuraは人体寄生の鞭虫と同一種であり, S. fülleborniも人体に寄生することが知られているので, サル類の飼養管理にあたっては十分な注意が必要である. とくに, 観覧者のための展示用として飼養されているサルに高率にこれらの寄生虫の感染が認められたことは, 公衆衛生上の問題が大きいと思われる.

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