日本獣医師会雑誌
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牛のビタミンB1代謝に関する研究
サイアミン塩酸塩とDisulfide型B1の静脈内負荷後の血中濃度と尿中排泄
中島 永昭一条 茂更科 孝夫納 敏
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1984 年 37 巻 2 号 p. 99-103

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抄録

牛に対するビタミンB1剤負荷後の血液中での動態を知る目的で, B1-HClとThiamine tetrahydrofurfuryl disulfide (TTFD) の100mgと300mgの静脈内負荷試験を行った.
負荷後の血液中B1濃度は, TTFD例が負荷量にほぼ並行して急速な増量を示し, 負荷後24時間でも高濃度が持続したが, B1-HCl例は負荷後30分に軽微な上昇を示したのみで, 3時間後には負荷直前に復帰した. 負荷後の赤血球中B1濃度は, TTFD例で急速かつ持続的な増量を認めたが, B1-HCI例ではほとんど増量がみられなかった. 負荷後24時間の尿中B1排泄量は, TTFD例が負荷量の約50%の排泄であったが, B1-HCl例ではほぼ全量が排泄された.
以上の成績から, TTFDは負荷後の体内貯留が著明であったのに対し, B1-HCIはほとんどが短時間で体外に排泄されることが判った.

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