日本獣医師会雑誌
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犬と猫における壼形吸虫感染とその駆除試験
菅野 紘行
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1985 年 38 巻 5 号 p. 297-301

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抄録

犬と猫に寄生する壷形吸虫の駆虫をbithionol, bromfenofos, bis (2-hydroxy-3-nitro-5-chlorophenyl) sulfideの3種の薬剤で検討した.
その結果, bis (2-hydroxy-3-nitro-5-chlorophenyl) sulfideの30mg/kg~45mg/kg, 1日1回2~3日の経口投与により, 臨床症状の改善がみられ, また7日~13日目には虫卵が減少しはじめ, 24日~31日後には完全に陰転した.
人工感染猫2頭と自然感染猫2頭を用いて, 駆虫後4カ月, 6カ月, 8カ月, 12カ月に剖検し残存虫体の検出を行ったところ, 6カ月のものに成虫1隻が認められた以外にはまったく見られなかった. 今回の投与量で, 少数の猫に嘔吐が認められたが, いずれも一過性で, そのほかには認むべき副作用はなかった. したがって, bis (2-hydroxy-3-nitro-5-chlorophenyl) sulfideは壷形吸虫に有効な駆虫剤であると思われた.

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