日本獣医師会雑誌
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牛乳中の細菌発育抑制物質の検索
岡田 雪男原 文男白石 忠昭多久和 正大福 静雄
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1986 年 39 巻 2 号 p. 97-101

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抄録
残留抗生物質検査 (ペーパーディスク法, PD法) で抗生物質を投与していない牛の乳汁が陽性を示す事例に遭遇し, その原因検索を実施した結果, 以下の成績が得られた.
1) PD法陽性反応は可検乳540例中55例 (10, 2%) にみられ, 乳中細胞数が多い乳汁ほど陽性率が高く, 細胞数30万個/ml以上の乳汁の陽性率 (19.7%) は有意に高値であった.
2) PD法陽性反応は, 全乳, 脱脂乳および乳清とも同様にみられ, 乳清を透析してもほとんど変化がみられなかった.また, 濃縮乳清では陽性反応が強くなり, 陰性乳でも濃縮することによって反応が出現する例があった.
3) PD法陽性反応は121℃15分の加熱により抗生物質添加の乳汁を含め, すべての被検乳で消失したが, 80℃60分の加熱では抗生物質添加乳では変化がなく, 他の陽性反応乳では阻止円が縮小あるいは消失した.
4) 生乳118例のラクトフェリン濃度は乳汁中細胞数51万個/ml以上の乳汁が, それ以下の乳汁に比較して有意 (P<0.01~0.001) に高い値であった.また, 陽性反応もラクトフェリンの増加に伴い高率に認められ, かつ阻止円の直径も大きくなる傾向であった.
5) PD法陽性反応は被検乳にトリプシンを添加することにより消失したが, 抗生物質添加の乳汁では変化が認められなかった
.6) ラクトフェリン, リゾチームの抗菌活性をヒト由来ラクトフェリン, 卵白リゾチームを用いてPD法で検討した結果, 前者は0.5mg/ml, 後者は5μg/mlの濃度で阻止円がみられ, そしてそれぞれ単独よりも混合液の阻止円直径は拡大された.しかし, これらの反応はトリプシンを添加しても完全には消失しなかった.
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