日本獣医師会雑誌
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39 巻, 2 号
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  • 戸尾 棋明彦
    1986 年 39 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 萩尾 光美, 田中 健太, 服巻 滋之, 大塚 宏光
    1986 年 39 巻 2 号 p. 74-80
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    生体における犬糸状虫の心血管内での寄生部位を知る目的で, 臨床例の断層心エコー図法 (以下2DE) 検査と, 実験犬を用いて生前と死後の寄生部位の比較検討を行った.
    1) 臨床例77例の内訳は, 犬糸状虫寄生無症状13例, 慢性犬糸状虫症36例, およびVanae Cavae Syndrome (以下VCS) 28例である. 無症状群では, 右室内に虫体エコーが認められたものはなく, 肺動脈内に虫体エコーが認められたもの6例, 虫体エコーは検出されなかったもの7例であった. 慢性犬糸状虫症群では6例に右室内にわずかな虫体エコーが認められ, 残りの30例中18例では肺動脈内に虫体エコーが認められた. しかし, 他の12例では虫体エコーは検出されなかった. 右室内に虫体エコーが認められた6例の病態は, 全例とも末期的ステージで, いずれも驚死し, 剖検で3例に死滅虫体の三尖弁構造物へのてん絡が確認された. VCS群では, 全例において大静脈・右房内に多数の虫体エコーが認められ, それらは拡張早期に右室内へ移動し, 拡張末期に再び右房内へ戻った. なお, 小型犬4例では典型的なVCS症状を示さなかったが, 2DE上, 典型的VCS例との区別は困難であった.
    2) ペントバルビタールNa安楽死前の2DE検査で, 右室内に虫体エコーが認められたものは26頭中わずか1頭で, 逆に剖検では22頭に右室内で虫体が認められた.
    3) 体表面およびペントバルビタールNa麻酔・開胸による心表面からの2DE検査で, 右室内に虫体エコーが認められないことを確認後, ただちに肺動脈, 前・後大静脈を鉗圧して剖検した8頭は, 全頭とも肺動脈内にのみ虫体が認められた. また, 体表面から2DE観察を続けながらペントバルビタールNa (75mg/kg, iv) で安楽死した10頭では, 9頭で2DE上, 血流停止前あるいは停止直後 (ペントバルビタールNa注射後平均3分27秒) に肺動脈から右室内への虫体エコーの移動がみられた.
    以上の成績から, VCSや慢性犬糸状虫症の一部を除いては, 通常, 犬糸状虫は肺動脈内に寄生すること, また犬糸状虫の寄生部位について2DE所見と剖検所見とに不一致が生じる原因は, 肺動脈内の犬糸状虫が頻死期ないし死後ごく短時間内に右室, さらに右房内へと移動することによることが示唆された.
  • 田浦 保穂, 浜名 克己, 大石 明広, 坂本 紘, 神川 昌広, 村山 和哉
    1986 年 39 巻 2 号 p. 80-85
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    牛の前十字靱帯断裂症の発症2例 (ホルスタイン種, 9才, 10才) と実験作出2例 (黒毛和種, ともに1才) について, その整復手術方法を検討した. 術式は犬のOver-the-top法に準じたが, 牛では腓腹筋種子骨がないので, 大腿骨に孔道を作り, これに筋膜帯を通し, 脛骨粗面に固定した. その結果, 発症例は術後管理失宜により大腿骨を骨折したが, 実験作出例では予後良好であり, 従来放置されていた本症に対する手術法の有用性が確認された.
  • 本間 穂積, 中林 大, 遠藤 恭介, 鍋谷 政広, 石田 秀史, 古川 岩雄, 栗山 茂衛
    1986 年 39 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1983年11月, 県内の1肥育養豚場において熱発, 血様下痢を主徴とし, 1群32頭中31頭が死亡する症例が認められた. 検索の結果, Clostridium perfringensA型菌感染を伴った豚鞭虫症と考えられた.
    剖検では盲腸および結腸に黒色水様の内容物を入れ, 黒褐色の偽膜形成がみられるとともに多数の幼若鞭虫が認められた.
    組織検査では小腸にヵタル性線維素性腸炎を, 大腸には鞭虫寄生を伴うジフテリー性腸炎を認めた.
    細菌学的検査では小腸おび大腸のいずれからもE. coliおよびα毒素, Enterotoxinを産生するCl. PerfringensA型菌が多数分離された.
  • 小沢 洋子, 広川 和郎, 桐沢 力雄, 小沼 操, 川上 善三
    1986 年 39 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    牛伝染性鼻気管炎 (IBR) ウイルス感染の診断法としての, 間接血球凝集反応 (IHA) の野外での応用を検討した. ホルマリン・タンニン酸処理羊血球をIBRウイルスで感作したIHAの抗原は-80℃で少なくとも3ヵ月は保存可能であった. 検査血清はIBRウイルス感染を受けた牧場の牛群より得た. IHAはIBRウイルス感染をうけた牛の感染初期および後期の抗体と特異的に反応した. IHA価は補体添加の中和抗体価とほぼ同じ価を示した. IHA法は感度が高く, とくに発症時の感染初期抗体の検出にすぐれており, 再現性および迅速であることからIBRウイルス感染症の診断および疫学調査に有用であることが示唆された.
  • 岡田 雪男, 原 文男, 白石 忠昭, 多久和 正, 大福 静雄
    1986 年 39 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    残留抗生物質検査 (ペーパーディスク法, PD法) で抗生物質を投与していない牛の乳汁が陽性を示す事例に遭遇し, その原因検索を実施した結果, 以下の成績が得られた.
    1) PD法陽性反応は可検乳540例中55例 (10, 2%) にみられ, 乳中細胞数が多い乳汁ほど陽性率が高く, 細胞数30万個/ml以上の乳汁の陽性率 (19.7%) は有意に高値であった.
    2) PD法陽性反応は, 全乳, 脱脂乳および乳清とも同様にみられ, 乳清を透析してもほとんど変化がみられなかった.また, 濃縮乳清では陽性反応が強くなり, 陰性乳でも濃縮することによって反応が出現する例があった.
    3) PD法陽性反応は121℃15分の加熱により抗生物質添加の乳汁を含め, すべての被検乳で消失したが, 80℃60分の加熱では抗生物質添加乳では変化がなく, 他の陽性反応乳では阻止円が縮小あるいは消失した.
    4) 生乳118例のラクトフェリン濃度は乳汁中細胞数51万個/ml以上の乳汁が, それ以下の乳汁に比較して有意 (P<0.01~0.001) に高い値であった.また, 陽性反応もラクトフェリンの増加に伴い高率に認められ, かつ阻止円の直径も大きくなる傾向であった.
    5) PD法陽性反応は被検乳にトリプシンを添加することにより消失したが, 抗生物質添加の乳汁では変化が認められなかった
    .6) ラクトフェリン, リゾチームの抗菌活性をヒト由来ラクトフェリン, 卵白リゾチームを用いてPD法で検討した結果, 前者は0.5mg/ml, 後者は5μg/mlの濃度で阻止円がみられ, そしてそれぞれ単独よりも混合液の阻止円直径は拡大された.しかし, これらの反応はトリプシンを添加しても完全には消失しなかった.
  • 無麻酔犬における測定方法の確立
    樽見 千利, 森 昌弘, 増田 裕
    1986 年 39 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    イヌの無麻酔下における非観血的血圧測定法の手技を確立することを試みた.トランスデューサーおよびカブが独立した超音波ドプラー効果を応用した [血圧測定装置を用いた.トランスデューサーによる血流音を聴取する部位, カブによる血流を遮断する部位, 安定した血圧値を得るための保定姿勢, および繰り返えし測定による再現性を検討した.その結果, 尺骨動脈で血流音を聴取し, 肘関節上側部にカブを装着し, 懸垂位に保定することで信頼性の高い値が得られるようになった.
  • 伊藤 隆, 伊藤 格郎, 伊藤 冨美雄
    1986 年 39 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    小規模なアンゴラウサギ飼育農家で, くしゃみ, 鼻汁の漏出, 鼻性呼吸を主徴とするスナッフルが発生し, 繁殖および育成用ウサギを問わず, ほぼ全頭に発症が確認された.
    この中で最も臨床症状が重い5頭を淘汰し, 病性鑑定を行った.共通した肉眼所見として, 鼻腔および副鼻腔の粘液貯留が認められた.細菌検査では, 鼻腔ぬぐい液からBordetella bronchisotica (B.bronchisotica) Pasteurella multocida (P.multocida) が高率に分離された.また, 組織学的に鼻腔粘膜のカタール性炎, 鼻甲介骨の破壊吸収像がみられた.
    29頭の鼻腔ぬぐい液の細菌検査で25頭からB.bronchisoticaが, 5頭からEmultocidaが多量に分離された.B.bronchisoticaの抗体検査では繁殖用ウサギで幾何平均 (GM) 98.8倍, 育成用ウサギで25.2倍と高い抗体価を示し, B.bronchisoticaが広く浸潤していた.
  • 山崎 寛治, 板倉 智敏
    1986 年 39 巻 2 号 p. 110-112
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    臨床的に後肢の運動失調・麻痺を呈した18週齢の肥育豚の脊椎すべり症を病理学的に検索した.その結果, 肉眼的には第1・2腰椎の転位による脊髄の圧迫, 組織学的には腰椎転位部の脊髄白質の変性および灰白質の神経細胞の変性・壊死を認めた.
  • 富永 潔, 竹谷 源太郎, 西村 強
    1986 年 39 巻 2 号 p. 115-118
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1984年5月, 山口県下の1養豚場で, 生後45日齢の同腹豚8頭のうち3頭が急死した.
    病理学的検査で敗血症の所見が認められ, 細菌学的検索で主要臓器, 胸水からα溶血を示すレソサ球菌が優勢に分離された.
    本菌は生化学的性状, 血清型別検査により“Streptococcus suis”type I/II (R・S群レンサ球菌) と同定され, 本症例を本菌による敗血症と診断した.
    これまでわが国では, 病豚から本菌が分離された報告はなく, 本症例が初めての発生報告であると考えられた.
  • 血液化学検査の機器
    吉田 仁夫
    1986 年 39 巻 2 号 p. 118-122
    発行日: 1986/02/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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