抄録
3才の雌日本猫が, 呼吸困難と歩行異常を主訴として来院した. 脳血管撮影により, 右前大脳動脈支配域に腫瘤を確認し, 前頭部の開頭手術を行い, 乳白色肉芽腫様腫瘤を摘出した. 病巣部は髄膜表層とクモ膜下腔が巣状となっていた. 摘出物中に黄膜をもった球形の分芽菌を直接鏡検で確認したこと, ならびに病理組織学的所見からクリプトコックス症と診断した. 症例は, 初めアムフォテリシンB1mg/kg静注を3日に一度の割合で14回投与されたが, ラテックス凝集試験による抗原価が低下せず, その後, アムフォテリシンB0.5mg/kg隔日投与と, 5-フルオロシトシン94mg/kgbidを連日経口投与した結果, 10ヵ月後に抗原価も低下し, 寛解したものと考えられた.