1986年7月に, 宮城県において飼育されていたLW種の繁殖用雌豚の肝臓から吸虫が採取され, これについて寄生虫学的ならびに病理学的検索を行った. 本吸虫は, 虫体および虫卵の形態学的特徴から, 肝吸虫 (Clonorchis sinensis) と同定された. また, 寄生豚の肝臓には, 胆管上皮細胞の腺腫様増殖や肥管壁の肥厚, 胆管周囲の間質結合組織の増殖ならびに好酸球を主体とした著しい細胞浸潤等の所見が観察された. 宮城県は従来から肝吸虫症の流行地として知られているが, 近年における浸任状況は明らかではない. しかし, 今回豚に見出されたことから, 現在でもヒトの肝吸虫感染が起こりうることが確認された.