日本獣医師会雑誌
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豚体内におけるSarcocystis miescherianaの発育
斉藤 守弘橋本 夏美板垣 博中島 董渡辺 照宣
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1988 年 41 巻 3 号 p. 183-187

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抄録

2ヵ月齢のランドレース種豚にスポロシスト5,000~10,000個を投与し, 投与後10, 20, 30, 40, 50, 63, 100日目にと殺し豚体内におけるSarcocystis miescherianaの発育を生鮮および組織標本について経時的に観察した.
シストが筋肉内に初めて出現するのは感染後30日目であった. 感染後30日目のシストは壁が薄く, 内部には多数のメトロサイトを有していた. 40~100日目のシストは壁が厚く, 柵状構造が見られた. シスト内にブラディゾイトが認められるのは感染50日目以降であった.
シストの長径は40~63日目までは感染経過日数に比例して増大するが, 以後はあまり増大しなかった. いっぽう, 短径は感染日数に比例して少なくとも100日目までは増大する傾向が認められた. シストの成熟期間は約9週で, 感染豚の骨格筋を子犬に投与した実験により確認された.

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