繁殖豚467頭からA-B誘導によって心電図を記録し, 各測定値の生理的範囲を算出した. これらの生理的範囲は, 従来の報告とは若干異なり, P波の持続時間およびQ波の電位に差異が認められた. Q波およびST部分の電位は個体差が大きく, CV (Co-efficient of variance) が高値を示した. また, QRS群の波形にさまざまな型が観察された. このうち, QRS棘波が0.5mV未満の低電位を示すものが33.4%と高頻度に出現した. この33.4%のうち, rs型が27.2%と主体であった. したがって, 本来はrS型を示すものが, 繁殖豚の厚い皮下脂肪のために体表で記録されたQRS群は低電位化したものと考えられた.