日本獣医師会雑誌
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犬糸状虫ミクロフィラリア寄生犬にイベルメクチンとジエチルカルバマジンを投与してみられる副作用の比較
中井 正博片江 宏巳河村 正大石 勇
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1988 年 41 巻 6 号 p. 402-407

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抄録

Ivermectin (IVM) をミクロフィラリア (MF) 寄生犬に投与した場合に, diethylcarbamazine (DEC) の副作用として知られているショック様反応の発生があるかを知る目的で, 同一実験犬に両薬剤を投与し副作用を比較検討した.実験には末梢血にMFが平均395 (113, 309)/20μl寄生する30頭を用いた. IVM実験は30頭に10μg/kgを1回経口投与し, 投与後7日間観察を行った. この間に臨床症状, 白血球数および血漿生化学的検査13項目に異常所見は認められず, また, MF数にも投薬後減少はみられなかった. DEC実験はIVM実験終了後に30頭にDEC-citrate 6mg/kgを1回経口投与し, 投薬後1日間臨床症状, その他, IVMと同様の項目について検討した. DEC投与後13時間に5頭 (16.7%) にショック様反応と判断される異常所見が認められた. これら症状発生犬では, 白血球数増加や強い肝機能障害を示すGOT, GPT, ALP値の著しい上昇が観察された. また, 症状発生をみなかった25頭にも白血球数, 血漿生化学的検査値に軽度ではあるが同様の異常所見が観察された.

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