日本獣医師会雑誌
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子牛の有機リン系殺虫剤中毒の発生例
木村 良男岸 善明中村 祥子吉成 博雄大根田 智平井 清司佐藤 満雄山中 晴通
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1988 年 41 巻 6 号 p. 412-415

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抄録

フェンチオンを5%含有する殺虫剤を散布した牛房に, 生後25週齢のホルスタイン系子牛32頭を市場から導入したところ, 全例に食欲不振, 元気消失, 脱力感および下痢などの臨床症状が発現し, 14頭が死亡した. 発症牛の血清, 死亡牛の肝臓および牛房の敷藁からはフェンチオンが検出された. また, 発症牛の血清コリンエステラーゼ活性は健康牛のそれよりも有意に低値を示した. さらに, 発症牛のうち生存していたものを殺虫剤の散布していない牛房に移したところ, 23日ののちには大部分の牛の臨床症状が好転していることが確認され, その後, 同様な症例の発生は認められなかった.
以上のことから, 本症例にはフェンチオンが強く関与していたと診断した.

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