日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
Theileria sergenti感染牛に対する耐過牛白血球の移入効果
小山 弘之永井 由紀子八木 行雄小笠原 俊実宝達 勉斉藤 博
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 41 巻 9 号 p. 640-644

詳細
抄録

Theileria sergenti (TS) 感染耐過牛の末梢血白血球をTS寄生率の高い牛に輸注し, TS寄生率に対する効果を検討した.供与牛は実験的にTS福島株を感染させ, 一度寄生率を上昇させた後に耐過状態となったものを用いた.受容牛にはTS寄生率の高い時期の個体を用いた.供与牛の血液1lを採取し, その白血球層のみを回収して3回遠沈洗浄後, 1回当たり109細胞以上を静脈内に移入した.耐過牛白血球を3日間隔で2回移入するとTS寄生率は急速に減少したが, 一時的で再び増加した.耐過牛白血球を5回移入すると, その移入効果は前老よりも長期間持続した.いっぽう, TS非感染牛の白血球移入ではTS寄生率の変化はなかった.なお, 耐過牛白血球と受容牛のTS寄生赤血球とを混合培養し, その培養上清を受容牛に8回移入したが効果はみられなかった.また, この供与牛と受容牛の前述の組み合わせで輸血を実施したところ, 一時的ではあるがTS寄生率は急速に減少した.これらの結果から, 耐過牛白血球にはTS寄生赤血球を減少させる作用のあることが示された.

著者関連情報
© 社団法人 日本獣医師会
前の記事 次の記事
feedback
Top