日本獣医師会雑誌
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乳用子牛の第四胃捻転の7例
田口 清石田 修有沢 幸二
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1988 年 41 巻 9 号 p. 635-639

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抄録

乳用ホルスタイン子牛の第四胃捻転の7例を経験した.急性な経過で重度な全身症状を示し, 脱水, 沈欝, 腹囲の膨満およびピング音の聴取が共通の臨床症状であった.6例に低クロール血症が観察され, 4例では乳酸アシドーシスが推定された。これらは開腹手術により, いずれも第四胃の捻転であることが確認されたが, さらにその際, 第四胃の捻転の様式は単一でなく, 多様な捻転様式をとることが明らかになった.手術時の処置としては, 第四胃内容を排除後, 第四胃を整復するのみとし, 第四胃の固定術は実施しなかった.6例の子牛は回復したが, 1例は腹膜炎のため術後14日目に死亡した.
術前, 術中, 術後にはリンゲル液と5%ブドウ糖液の混合液を用いた十分な輸液を行ったが, 治療前後の臨床および血液所見の改善状態から判断して, これが今回得られた良好な治療成績の重要な要因の一つとし考えられる.

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