1988 年 41 巻 9 号 p. 663-665
1986年3月に福岡県の一酪農家で, 乳用牛の1頭が神経症状を主徴として発症した.抗生剤による治療を行ったが, 予後不良につき廃用した.血液学的および生化学的に細菌感染が示唆されたが著明なものではなかった.剖検により脳底部に鳩卵大の膿瘍形成が認められた.病理組織学的には下垂体は壊死し, 下垂体周囲には著しい好中球浸潤と菌塊が見られた.細菌学的には, Actinomyces pyogenes (A. pyogenes) が病変部より分離された.
A. pyogenes感染の血清学的調査を同居牛について実施した結果, A. pyogenesプロテアーゼ抗体が19頭中17頭に認められた.