日本獣医師会雑誌
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セフロキシム製剤による牛臨床型乳房炎の治療
小沢 みどり宮澤 清志大崎 和栄佐藤 邦忠久保 田学
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1989 年 42 巻 12 号 p. 843-848

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抄録

臨床的に異常の認められないホルスタイン種乳牛3頭の9分房に, セフロキシム500mgを1日1回3日間連続注入し, 乳汁中のセフロキシム濃度の変化を観察した. つぎに, 乳房炎に罹患しているホルスタイン種乳牛18頭の27分房に, セフロキシム250mgを1日1回3日間連続注入した. 臨床症状の観察, PLTによる乳汁検査, 細胞数の測定および細菌検査を行い, 次の結果を得た.
1. 注入後の乳汁中セフロキシム濃度は時間の経過とともに減少し, 72時間以降残留はみられなかった.
2.92.6%(25例/27例) の臨床型乳房炎に対して効果がみられた.
3. 注入前の分離菌種の内訳は, Staphylococcus属12例, Streptococcus属4例, Enterococcus属3例, E. coli3例, その他のグラム陰性桿菌2例, Bacilius属3例であった. 最終注入後はCoagulase negative staphylococcus (CNS) が2例に, Enterococcus faecium, E. coliならびにKlebsiella oxytoca が各々1例に残存し, 他の分離菌はすべて消失した.
4. セフロキシムに対する耐性菌が, Enterococcus属が検出された1例に出現した.
以上の成績から, セフロキシムは乳房炎治療薬として有効であることが認められた.

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