日本獣医師会雑誌
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分娩前の乳牛に投与されたlα-hydroxyvitamin D3の血中カルシュウムとlα, 25-dihydroxyvitamin D濃度に及ぼす影響
内藤 善久高橋 雅春佐藤 れえ子金田 義宏村上 大蔵
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1989 年 42 巻 12 号 p. 849-853

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抄録

乳牛の分娩時の低Ca血症に対するla-hydroxyvitamin D3 (lα (OH) D3) の予防効果を明らかにする目的でホルスタイン種経産牛10頭を用いて, 5頭には分娩前6時間から8日の間にエタノール3mlに溶解したlα (OH) D3500μgを, また残りの5頭には対照群としてエタノール3mlのみをそれぞれ筋肉注射した. これらの供試牛について分娩前10日から分娩後7日まで血漿の1, 25 (OH) 2D, Ca, Pi, Mgおよび4-ヒドロオキシプロリン (Hyp) 濃度を測定した. その結果, 分娩前6時間から2日の間にla (OH) D3を投与された3頭 (No.3, 4, 5) における血漿1, 25 (OH) 2D濃度は, 分娩時に明瞭に上昇し, それにともなって分娩後の血漿CaとPi濃度の低下は抑制された. しかし, 分娩前7日および8日に投与された2頭 (No.1, 2) の血漿1, 25 (OH) 2D濃度は, 分娩時から分娩後にかけて上昇せず, 血漿のCaおよびPi濃度は, いずれも分娩後に低下した. また, 各投与牛の血漿Hyp濃度は, 対象群のそれとよく一致して分娩後に上昇した. 以上のことから, 分娩後の低Ca血症を防ぐためのlα (OH) D3の投与時期は分娩前2日前後が最も効果的と考えられた.

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