鹿児島県下の1養豚場で, 20日齢の1雄子豚が黄疸の症状を示して死亡した. 病理組織学的に, 肝臓と脾臓の巨大化した細胞に好塩基性核内封入体が認められた. 同様の核内封入体は肺, 腸間膜リンパ節にも認められた. 核内封入体は, フォイルゲン反応陽性であった. 電子顕微鏡検索により核内封入体内には多数のヘルペスウイルス様粒子が認められた. 抗豚サイトメガロウイルス豚血清を用いる蛍光抗体法により, 核内封入体に関連して特異蛍光が認められた. 以上の結果から本症は豚サイトメガロウイルス感染症と診断された. 豚サイトメガロウイルスに対する抗体検査の結果, 66.7%が陽性を示し, 中でも導入豚の陽性率が高かった. 発症子豚の母豚が抗体陰性であったことから, 本例は生後5~10日の間に感染したものと考えられた.