日本獣医師会雑誌
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自然治癒経過をたどった皮膚型牛白血病の1例
伊藤 博大島 寛一岡田 幸助沼宮内 茂清宮 幸男田村 啓二
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1989 年 42 巻 2 号 p. 116-119

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抄録

皮膚型牛白血病の1例について, 病性の程度と血液化学的および免疫学的検査所見との関連性を検討した. 症例は2歳の雌ホルスタイン種で, 全身の皮膚に多発性の腫瘍結節が認められた. 末梢リンバ系細胞の酸性フォスファターゼ染色による陽性度が増加し, 血液LDH活性値およびLDH2分画の上昇がみられた. これらの値は, 腫瘍結節が退縮しはじめた退縮期からそれが消失した緩解期にいたるにつれて徐々に減少した. 退縮期のリンパ球は, Tリンパ球マイトージェンに対して強い幼若化反応を示した. また, 腫瘍期から退縮期にかけてフィトヘマグルチニンおよびコンカナバリンAに対するリンパ球の幼若化を阻止する強い作用が血清中に認められ, 緩解期の血清では幼若化能の抑制はみられなかった. 血清中のα1酸性糖蛋白が腫瘍期に高値を示し, 病性の回復とともに徐々に減少した.

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