日本獣医師会雑誌
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蛍光法による牛の乳汁中NAGase活性測定
薫田 耕平岩渕 功山本 英雄堀北 哲也岡田 望柴田 浩元井 葭子
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キーワード: , 乳汁中NAGasc活性, 蛍光法
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1989 年 42 巻 2 号 p. 99-103

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抄録

牛の乳房炎診断に際して乳汁中のN-acetyl-β-D-glucosaminidase (以下NAGaseと略) 活性を測定する方法がある.今回, 従来用いられているρ-Nitrophenyl-N-acetyl-β-D-glucosaminideを基質とする方法 (従来法) とマイクロプレートを用いる4-Methyl-umbelliferyl-N-acetyl-β-D-glucosaminideを基質とした新しい方法 (蛍光法) との相関性について検討した. 相関係数は, r=0.968, 回帰式はy=0.931X+1.327で従来法と蛍光法との間には良好な相関性を認めた. また, 蛍光法による再現精度は平均CV=4.0%であった.
蛍光法による健康125分房乳汁のNAGase活性の平均値は6.2±3.28nM/min/mlであった. 乳房炎275分房の乳汁平均値は102.6±79.33nM/min/mlで健康乳より有意に高い値を示した.
他の乳房炎診断法との比較では, PLテストとの相関係数が最も高く0.871, 次いで体細胞数の0.791, 電気伝導度の0.751の順でそれぞれ正の相関が認められた.
乳房炎の治療経過に伴うNAGase活性は, 乳房炎の治癒するにしたがって正常値にもどる傾向を示した.
以上のことから, 牛の乳房炎診断において蛍光法は簡易で有用な方法であることが判明した.

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