1989 年 42 巻 2 号 p. 104-107
1986年から1987年にかけて, 宮崎県で膵萎縮を伴った発育不良症候群が発生した. 野外例9群 (このうち2群は同一群) 95羽と, この疾病の発生が予想された1群の経時的観察例28羽について, 病理学的検査を実施した. 剖検では, 野外例95羽中約91.6%に膵萎縮を認め, 経時的観察例では1羽に膵萎縮を認めた. 組織学的には, 野外例の膵臓で腺房の萎縮と管腔の拡張, 間質の腺維増殖リンパ濾胞の過形成等の特徴的病変を約89.2%に認め, さらに十二指腸開口部付近の膵管では, 粘膜固有層の肥厚による狭窄・閉塞を約70.4%に認めた. また, 経時的観察例28羽のうち, 組織学的に特徴的膵病変を認めた3羽では, すべてに十二指腸開口部付近の膵管の狭窄・閉塞を認めた. 以上のことから, なんらかの原因で十二指腸開口部付近の膵管の狭窄・閉塞が起こり, このことにより特徴的な膵病変が発現するものと思われた.