日本獣医師会雑誌
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犬腟蓄膿の2症例
野村 紘一越智 一彦島田 保昭
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キーワード: , 腟腟蓄膿症
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1989 年 42 巻 3 号 p. 185-188

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抄録

最近, われわれは犬の腟蓄膿の2例に遭遇した. これらはいずれも外陰部から膿の持続排出を主訴に来院したものである. 症例1は6歳のヨークシャーテリアで分娩歴を有し, 症例2は前歴不明の雑種であった.
これらの子宮・卵巣はまったく正常であったが, 腟の拡張が著明で蓄膿がみられた. 膿からはStreptococcusやStaphylococcusなどの細菌が検出された.
症例1は原因不明で, 腟の閉鎖や狭窄などは見あたらなかったが, 症例2では腔内に変質者のいたずらによると思われる異物が挿入されており, これによる腟の拡張と感染が原因であろうと考えられた. なお, 症例1では分娩歴を有しており, 他に流産歴を有するものの発生例が報告されているところから, あるいは分娩や流産に起因する腟の退縮不全などが誘因となっていることも考えられる.

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