日本獣医師会雑誌
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北海道の石狩地区における牛ウイルス性下痢・粘膜病 (BVD・MD)
ウイルス持続感染牛の疫学調査と分離ウイルスの血清学的性状
斎野 仁渡辺 卓俊青木 仁久三上 祐二山口 勲松田 敬司
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1989 年 42 巻 5 号 p. 324-328

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抄録
牛ウイルス性下痢粘膜病ウイルスの持続感染牛を中心として, 野外における病性と疫学について調査を実施した. 下痢, 呼吸器病を呈した14頭について, 8頭に非細胞病原生BVD・MDウイルス血症を認め, うち5例が持続感染牛と判明した. これら8症例は, うち2例が急性, 6例が慢性経過を示し, 9から27ヵ月齢で死亡した. その他に, 石狩管内の健康乳幼児育成牛224頭を調べたところ, 1頭に非細胞病原生BVD・MDウイルスの持続感染牛を確認した.
持続感染牛が確認された1農家の過去5年間の疫学調査で, 流産-持続感染-粘膜病-流産-持続感染と繰り返し疾病が発生し, 流産の多発時期と持続感染牛の胎児期の早期と一致した. 分離株は, ウサギ免疫血清 (抗No.12, 抗Nose, 抗十勝) と持続感染牛が確認された2農家の飼養牛血清の中和試験により, 既知のウイルス株と血清学的に異なることが示唆された.
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