昭和59年から62年にかけて6県下 (青森, 福島, 埼玉, 長野, 島根, 佐賀) で肉用子牛と子豚を主とした病性鑑定材料由来大腸菌 (牛由来119株, 豚由来82株), 合計201株について, 薬剤耐性と伝達性Rプラスミドの分布状況を調査し, 以下の成績を得た.
1) 牛由来株の各薬剤別にみた耐性率は, テトラサイクリン (TC) 耐性が59.7%, クロラムフェニコール (CP) 21.0%, ストレプトマイシン (SM) 52.9%, スルファジメトキシン (SA) 37.8%, カナマイシン (KM) 45.4%, アミノベンジル・ペニシリン (ABPC) 43.7%, ナリジクス酸 (NA) 28.6%であり, 全供試菌株の約30%はいずれの薬剤にも感受性であった. 耐性型では, 全供試菌株の44.5%が4剤以上の多剤耐性で占められ, 7剤 (TC, CP, SM, SA, KM, ABPC, NA) 耐性型も検出された.
2) 豚由来株の薬剤別耐性率は, TC耐性が98.8%, CP20.7%, SM63.4%, SA80.5%, KM67.1%, ABPC41.5%, NA2.4%, トリメトプリム (TMP) 6.1%であり, 感受性株は検出されなかった. 耐性型は, 全供試菌株の56%以上が4~7剤耐性型で占められた.
3) 耐性株からの伝達性Rプラスミドの検出率は, 牛由来株が60%, 豚由来株で48%であった.