日本獣医師会雑誌
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ブロイラーで認められたHaemophilus paragallinarumおよびMycoplasma gallisepticum混合感染症
内田 幸治高山 公一古谷 徳次郎矢野 泰臣
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1990 年 43 巻 1 号 p. 29-32

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抄録

1988年1月, 宮崎県の伝染性コリーザワクチン未接種のブロイラー群で, 鼻汁漏出および顔面腫脹を呈する病鶏を認めた. 発生の認められた農場は, 周囲に採卵およびブロイラー農場が点在する養鶏密集地域にあり, 開放鶏舎3棟にそれぞれ1万羽, 計3万羽を飼養していた. 各棟とも50日齢頃より病鶏が散見され, 63日齢までの間に約15%の鶏が発症, 11%の鶏が死亡した. これら病鶏3羽 (63日齢) では, 全例, 気管炎・気嚢炎が認あられ, 鼻腔・眼窩下洞からHaemophilus paragallinarum (Hpg) のA型菌, ならびに気管・気嚢からMycoplasma gallisepticum (MG) が分離された. 血清抗体検査 (35, 49および63日齢時, 各20検体) では, HpgのA型に対する赤血球凝集抑制抗体は63日齢時のみ陽性 (幾何平均6. 2倍) で, MGおよびM. synoviae (MS) に対する凝集抗体は49日齢時より認あられ, 63日齢時, MG・MSとも100%陽性であった. 分離Hpg株を49日齢ブロイラー3羽に経鼻接種したところ, コリーザ症状が再現された.
以上, わが国のブロイラーにおけるICの発生およびその被害が, マイコプラズマとの混合感染の形で確認された.

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